MOBILITY:dev に参加してきた!
10/31に渋谷で開催された 「MOBILITY:dev」 に参加した。MOBILITY:devは、最近盛り上がりを見せているMaaS(Mobility as a Service)についてのカンファレンスだ。当日は交通系データのフォーマットであったり、データが整えられていない企業に対する取り組みが話されていた。また実際に自動運転の技術に対する取り組みや、そのバックエンドではどういうシステム構成が取られているかが語られた。このカンファレンスに参加するまでMaaSという言葉を初めて聞いたようなレベルの知識であった自分だったが、基本的なことが多くのことを知れるいい機会だった。
MaaSとは?
そもそもMaaSとは何なのかについて説明する。国土交通省が提示しているものを引用する。
MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイ カー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ 新たな「移動」の概念である。
具体的にどのようなサービスがあるのか
カンファレンスの中では、「移動が所有から利用になる世界」「移動のサービス化」といった言葉が使われていた。具体的にどのようなサービスが展開されているのかといえば、フィンランドの企業「whim」が紹介されていた。「whim」は世界初のMaaSを展開する企業であり、鉄道バス・タクシー・自転車を検索しきっぷなどを購入できるサービスを展開している。イメージとしてはGoogleマップで検索した経路で利用する交通機関を一括で予約してくれるサービスという印象だった。こちらも総務省にてまとまった説明の文章があったので引用する。
MaaSを世界で初めて都市交通において実現した事例として注目されているのは、フィンランド・ヘルシンキのベンチャー企業「MaaSグローバル」が提供するサービス「Whim(ウィム)」です。Whimは2016年にヘルシンキの交通当局と行った実証実験のあと、正式にサービス開始されました5。利用者は各自の利用形態に応じて、毎月49ユーロ(約6,300円)、毎月499ユーロ(約64,000円)、あるいは1回ごとの決済の3つの料金プランを選択し、それによって得られるポイントで、Whimが提示するいくつかの交通経路から最適なものを選択し、予約、乗車、決済まで一括して利用することができます。Whimが提示する交通手段には電車やバスなどの交通機関のほか、民間タクシーやバイクシェア、個人の徒歩や自転車などもあり、スマートフォン等のアプリ画面を提示するだけで、指定した交通手段を利用できます。
自動車の配車アプリを提供しているUberも「Express Pool」という新しいサービスを展開し始めている。数名のユーザに配車地点へ集合してもらい、そこから全員で目的地周辺まで運ばれる相乗りサービスもある。日本でも次のようなものがいくつか出始めている。 - My Route - Izuko - WILLER - EMot
キーノートの資料はこちら
www.slideshare.net
カンファレンス内容
カンファレンスはメインホールとサブホールの2トラックで開催されていた。自分が参加したものは下記である。
- 「ITエンジニアこそ実現できるモビリティのサービス化」
- 伊藤 昌毅
- 「GTFSオープンデータで公共交通をアップデート」
- 伊藤 昌毅
- 「Webエンジニアが自動運転企業でやっていること」
- 森本 潤一
- 「アプリケーション エンジニアのための Cloud Spanner Deep dive と BigQuery GIS」
- 高田 泰志
- 「自動運転車を動かすサーバレスシステムの中身」
- 須山 温人
connpassのページに行くとすべての登壇タイトルが見れるので、他の発表が気になる人はこちらを見てほしい。
GTFSオープンデータで公共交通をアップデート
一番印象に残っているこちらの発表について感想を述べる。GTFSと呼ばれるオープンデータのフォーマットについての話が多かった。GTFSはGeneral Transit Feed Specificationの略で世界中で地理データのフォーマットとして扱われている。国内ではGTFS-jpで「標準的なバス情報フォーマット」と呼ばれるフォーマットが作られている。
GTFS形式のデータを作るにはいくつかやり方がある。発表中に紹介されていたものは次の3つだ。
- 「GTFS-jp出力機能があるマクロ」 - https://home.csis.u-tokyo.ac.jp/~nishizawa/gtfs/
- 「見える化共通フォーマット」
- 「その筋屋」
またデータの作り方に関連して、データの精度についての説明もあった。今記事を読んでいる人も経験があると思うが、Googleマップなどを使っているときに「バス停位置が不正確」「乗り場がわからない」ということがなかっただろうか。これはGTFS形式のデータが不正確であることに原因がある。企業からデータが提供されていることが非常に嬉しいが、不慣れな土地に行ったときにこまることも多いので正確であってほしい。実際に、とある地方では、バス停の位置が200mずれていたそうである。個人が作成するときにも事業者が必要と思うレベルでの情報精度が必要である。発表の中では佐賀県、青森県が丁寧に作ってることが言及されていた。
公共交通のデータ流通の現状や、公共交通データのグループについても説明がされていた。Googleマップはジョルダンからデータをもらっていることがわかった。
GTFSの中は次のようになっている。
データはPostgreSQLの拡張機能のPostGISを使うのがOSS RDBを使う選択肢とするのであれば第一候補となるようだ。
スライドが非常に多かったため、発表中の説明としては以上になる。今回説明に使われたスライドがアップロードされているのでURLを貼っておく。
www.slideshare.net
おわりに
いくつか発表を見てきたが、発表資料も見つかりメモも多くとっていたものについてブログにまとめた。 今回が第一回と言うことで今後も継続的に開催されることを願いつつ、自分自身としてもMaaSについて学びを深めていきたい。